仮想化、仮想化、たまに物理

ITインフラ仮想化のブログです。

最適な経路を実現 ビジネスポリシーによる経路動作②

はじめに

前回に続いて、ビジネスポリシーによる経路動作になります。

前回の内容はこちら

virtual-real.hatenablog.com

前回は、ざっくりまとめるとビジネスポリシーによって、様々な経路を設定できます、という内容でした。

今回はトラフィックを発信させるWAN種を指定するリンクステアリングについて紹介しようと思います。

 

リンクステアリングとは

リンクステアリングは、ビジネスポリシーの設定にある項目で、Edgeから発信されるトラフィックを、どのWANから出力するかを指定する機能になります。ビジネスポリシーでは、"発信させるWAN種"と"経路指定"を組み合わせて設定します。

 

◾️発信させるWAN種の指定
インターフェイス(物理)
・WAN Setting
・Transport Group

 

◾️障害時における経路指定
・Mandatry
・Prefferd
・Available
・(Auto)


発信させるWAN種の指定

VMware SD-WANでは、3種類のWAN種からトラフィックを発信させます。

1つ目は、インターフェイス(物理)です。

これは文字の通りで、GE1やGE2など、物理インターフェイスを示します。

2つ目は、WAN Settingです。

これはWANオーバーレイの設定を示してます。WAN Settingには、どの物理インターフェイスを紐つけるのか(複数もOK)、パブリック回線か、プライベート回線か、プライベート回線であれば、Gatewayとの疎通性はあるかなどなどの設定項目があります。

3つ目はTransport Groupです。

WAN Settingに設定される、パブリック回線か、プライベート回線かという括りでグルーピングされます。

なお、Porofileのビジネスポリシーで設定する場合はTransport Groupのみ選択できます。Profileでは、Edgeのインターフェイス(物理)やWAN Settingが、Edge個別に違うためです。

 

障害時における経路指定

WANに障害が発生した際、WAN経路の選択は4つの指定があります。Autoは動作仕様が決まっているため、VMware Docをご参照ください。

  • Mandatry
    特定の回線のみ使用され、どのような状態でも使い続けます。というより、遅延や障害があっても切り替わりません。
  • Prefferd
    特定の回線を指定しますが、回線状況に合わせて、最適な回線に切り替わって発信されます。
  • Available
    特定の回線を指定、回線が利用可能な限り、使い続けます。回線が使用不可(不通)になると、切り替わります。

*Autoについては、下記参照(VMware Docのコピペ)

https://docs.vmware.com/jp/VMware-SD-WAN/5.0/VMware-SD-WAN-Administration-Guide/GUID-D4A173D4-882E-4FC0-BCE1-417F38F8C0D8.html#GUID-D4A173D4-882E-4FC0-BCE1-417F38F8C0D8

 

ネットワークサービスとリンクステアリングを組み合わせた構成例

SD-WAN Edgeには、3本のWAN回線が敷設され、2本がインターネット回線(Public Wired)、1本がインターネット接続するが可能な専用線(Private Wired)があります。

ここでは、Saasへローカルブレイクアウトをする動作にします。WAN回線は通常時はインターネット回線2本を使用し、インターネット回線が利用できなくなった際に、専用線経由のSaasへアクセスする動作を設定します。

 

◾️設定例

ビジネスポリシーの設定例

 

◾️通常時の経路

通常時の経路

 

◾️障害時の経路

片側のインターネット回線がダウンしたケース

両方のインターネット回線がダウンしたケース

まとめ

前回のアプリケーションの経路動作に引き続き、今回はリンクステアリングによる発信されるWAN種についてご紹介しました。

ビジネスポリシーでは、リンクステアリングで指定したWAN種からトラフィックを発信し、ネットワークサービスによってアプリケーションの経路が制御されます。ルーティングではできない、複雑なアプリケーション経路設定をGUIでぽちぽちするだけで容易に設定することは、VMware SD-WANでしかできないと思います。

今回の投稿によって、アプリケーションの経路制御ってどうやるのか、どんな動きになるのか、また構築の際、どのようにビジネスポリシーを設定すれば良いか、その辺が解決できれば良いな、と思います。

話が変わりますが、近々VMware Explore 2022 Europeが開催されます。VMware SD-WAN/SASEの情報があれば良いですね。

本日のむーたん

ご飯が待てなくて給餌機の上に乗っちゃうむーたん